コラーゲンは細胞外マトリクスの主要な構成タンパク質である。Ⅰ型コラーゲンは容易に大量調整が可能なことから細胞培養基質として広く用いられてきた。その結果プラスチック培養皿と比較してⅠ型コラーゲン分子コート基質は細胞接着等に差があることがわかった。さらにⅠ型コラーゲンはin vitroでゲル状になる性質を利用して、Ⅰ型コラーゲンゲル培養がおこなわれ、細胞の機能維持発現にゲル状基質が重要であることが指摘されつつある。コラーゲンは現在19以上の型があることが報告されている。本論文では特に血管中膜にその存在量が多いことが知られているⅢ型コラーゲンと基底膜に局在したⅣ型コラーゲンに着目した。本論文ではコラーゲンを分別する方法として知られる塩分別法を用い、純度の高い標品が得られないと考えられていたⅢ型コラーゲンの調整、および生理的な条件でゲル化しないと考えられていたⅣ型コラーゲンのゲル化それぞれに関して報告した。これらの標品は細胞培養基質として有効であると考えられる。