柔道競技は競技終盤に近付くと上肢が疲労困憊となるため,競技成績の向上には上肢の無酸素性持久力の強化が重要である.そこで柔道競技者における上肢の無酸素性持久力の評価の知見を得るために,柔道部男子7名とトレーニング部男子7名を対象に上肢・下肢運動を2-3分で疲労困憊になるような固定強度で負荷し,VO2,VCO2,HR,RQを経時的に測定した.上肢運動のHRmax,下肢運動のVCO2maxにおいて柔道部はトレーニング部より有意に低かった.その他の項目について有意差はなかった.したがって,柔道部は上肢の無酸素性運動においてトレーニング部より少ない心拍数で運動を行うことができる酸素運搬能力が高いということと,下肢の運動においては無酸素性運動でありながら,トレーニング部より有酸素能力が優れていることが分かった.しかし,この結果からでは,上肢の無酸素性持久力の評価方法を明らかにするには至らなかった.今後,本研究で得られた結果をふまえて,柔道競技者における上肢の無酸素性持久力の評価方法をさらに検討していく必要がある.