本研究は健康な成人男性を対象に伸張性および短縮性サイクリング運動が動脈スティフネスに及ぼす急性の影響について比較することを目的とした。被験者は短縮性サイクリング運動時の最大仕事量の60%の強度において30分間の短縮性サイクリング運動を1回(CON1)、伸張性サイクリング運動を2回(ECC1, ECC2)、ECC2と同程度の酸素摂取量の強度において短縮性サイクリング運動を1回(CON2)、それぞれ2週間の間隔をあけて行った。サイクリング運動前、運動終了30分、60分、24時間および48時間後に上腕―足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。その結果、baPWVはCON1およびECC1の前後で有意に変化しなかった。しかし、baPWVはECC2(1117±31から1031±22cm/s)およびCON2(1120±29から1047±27cm/s)の48時間後に低下した(P<0.05)。以上の結果から2回目の伸張性サイクリング運動後には動脈スティフネスが低下することが示された。