本研究は、漸進的弛緩法(以下、PR)によるリラクセーション反応をみるために、心臓自律神経活動について時系列から検討することを目的とした。その結果より、PRを行なうか否かに関わらず、実験課題の遂行が心臓交感神経活動を亢進させたといえる。PRによる影響があらわれたのは、迷走神経活動においてである。PR条件は実験課題の遂行に伴って段階的に迷走神経活動を亢進させたが、読書条件は実験課題の後半になって迷走神経活動を亢進させた。そして、実験前期、実験中期、実験後期においては、PR条件が読書条件より迷走神経活動を亢進させたが、実験前安静と実験後安静では顕著な違いがみられなかった。つまり、PRの実施中のみリアルタイムに迷走神経活動を亢進させたといえる。