柔道整復学生に生じた若年性一側上肢筋萎縮症(平山病)について、早期発見の重要性と治療方針の早期確定に関する考察を踏まえ報告した。本例は柔道整復学生であり、固定実習時に包帯を取り落とす、柔道で相手を投げた際引き手を離してしまう等の問題をきたしているが、ADL上の困難は健側で代償されることが多く、困難は少ない。握力は22kg(健側35kg)である。本疾患の出現には左右差はないとされ、本例は非利き手側での発症であった。しかしながら、利き手側に症状が発現した場合、柔道整復師のような手先の巧緻運動や力強い把持等の技術を求められる職業に就くにあたっては問題が生じることが考えられる。柔道整復師は、若年者の上肢の脱力感を主訴とする疾患に対処する際は、本症など鑑別すべき疾患を念頭に置き、医科への紹介を含め治療の妥当性を検討する必要がある。