遊園地におけるコースター事故と安全対策：「ド・ドドンパ」事故の検討から（査読付）

日本体育大学紀要　51巻　pp2027-2034

本研究では、富士急ハイランドのコースター型アトラクション「ド・ドドンパ」により生じた事故の検討から、遊園地におけるコースター事故の背景と安全対策に関して考察した。「ド・ドドンパ」は発進時の急加速を特徴とするカタパルト式コースターで、一般的な巻き上げ式コースターとは異なる搭乗上の注意点が存在し、事故回避のために最も重要な条件は、発進時の後方シートへの後頭部押し付けによる姿勢保持であると考えられた。現地調査では、利用者に対する注意喚起の工夫として、待機時間や動線を利用しての多くの取組みが観察できた。動画の検証から、「ド・ドドンパ」事故前より、事故後に対策を充実させたことが明らかであった。また、コースターは、厳格な安全基準に基づき運行されているが、設置者、利用者ともに、コースターに内在する危険を十分に認識する必要がある。設置者は、設備の保守管理だけでなく十全な注意喚起を含む安全対策を徹底し、利用者は設置者による注意喚起を真摯に受け止めたうえでアトラクションを楽しむ姿勢が重要であると考えられた。

単著につき全編を執筆