学術論文

基本情報

氏名 稲川 郁子
氏名(カナ) イナガワ イクコ
氏名(英語) INAGAWA Ikuko

名称

原典的文献の読解による「柔の形」の間合いに関する研究(査読付)

単著・共著の別

単著

発表年月

2021/08

発表雑誌又は発表学会等の名称

日本体育大学紀要 50巻 pp1083-1093

概要

本研究は講道館柔道の7種の形のうち、「柔の形」について、原典的文献とされる嘉納治五郎の連載による「柔道本義」および嘉納の門弟である村上邦夫の連載による「柔の形教授法研究」より、両文献の特徴を整理するとともに、特に間合いに言及された箇所に着目し考察することを目的とした。嘉納は、修行者に対し正しい柔の形の動作とその意義を伝えようとし、村上は、時に嘉納の主張に修正を加える形で合理的な教授法に主眼を置いた記述を行っていた。両文献の記述に比較的大きな差異がみられた施技は斜打と突上、両文献の後に比較的大幅な改変が加えられた施技は片手挙であった。また、複数の言説から、嘉納は、形の改変に対し柔軟な態度であったことが看取できた。嘉納の没後、各種の形は講道館の門弟による研究により細かな修正が重ねられている。現在の統一見解は講道館発行の「教本」に記され、嘉納や村上の言説と異なる記述も散見される。近年競技化された形においても、審査基準に「位置および相手との間合い」が明記され、競技者・指導者・審査員の各々にとって間合いの概念は重要である。しかし、競技者であるか否かを問わず、形においては、個々の動作の意義を理解した上で、理合いの表出に必要な間合いを意識した稽古が重要である。

共著者

 

掲載ページ数

単著につき全編を執筆