本研究は大学1年生を対象とした突き指損傷の実態に関する報告である.有効回答を得られた281名の突き指損傷の受傷率は,61.6%であった.スポーツ活動中の受傷が94.8%を占め,原因となった競技はバスケットボールが半数以上を占め51.8%,次いで野球が11.6%であった.スポーツ活動による受傷群の受傷指は,示指の受傷が20.7%,次いで中指15.9%,母指14.0%,環指13.4%,小指12.2%の順であった.受傷後,徒手による牽引を施行した者は15.0%であったが,非牽引群との比較において予後の傾向に有意な差はみられなかった.また,調査時において,牽引が適切な対処法であると誤って認識している者は1.2%に留まった.受傷後,医科を受診した者は15.6%,接骨院を受診した者は15.0%で,非受診は59.0%であった.予後について,受診群では残存症状なしと回答した者は58.6%,非受診群では75.5%であったが有意差は認められなかった.