股間の急所(通称:金的、釣鐘)の強打は、特に男性において頻度が高くその症状も激烈である。本研究では、柔道競技でも頻度の高い本損傷についての知見を得ることを目的とした。受傷経験は男性90.1%、女性32.1%で、男性はスポーツ、女性は日常生活での受傷が多かった。男性の症状は疼痛のほか腹痛や気分不快など自律神経症状が特徴的であり、NRSの平均は男性が8.2、女性が5.0であった。最も多用され、かつ効果があると認識されていた対処法は「跳躍」、次いで「うずくまる」であり、医療機関の受診率は2.4%であった。本損傷は予防しにくいアクシデントだが、多くは短時間に回復し器質的損傷を伴わない。しかしながら、血腫が著明な場合や、疼痛が緩解しない例では早期の医科受診が望ましい。