嘉納治五郎の教えから考える柔道形修行の現代的意義
日本体育学会 第69回大会(徳島) 予稿集p216
柔道には主に、いわゆる試合形式の「乱取(亂捕、乱捕)」と、柔道の理合いを示した「形」の二つの修行形態がある。嘉納は、乱取と形の関係を文章に例え、「形は文法に比すべきもので、亂捕は作文に比すべきもの」と述べた。この形と乱取を文法と作文になぞらえた言説は、現在もなお柔道修行者の間で繰り返し説かれているものであるが、形は乱取と異なり自由度が低いため修行者から敬遠されることが多い。本研究は、乱取に比べ蔑ろにされがちな形の修行について、嘉納やその側近の遺した言説をもとに現代的意義を考察したものである。
稲川郁子、畑山元政