本研究は、スチュアート・ドレイファスStuart Dreyfusとヒューバート・ドレイファスHubert Dreyfusの考案した技能習得の段階モデルの柔道整復領域への援用可能性について考察したものである。ドレイファス・モデルを看護領域に適用させたことで知られるベナーBennerは、それまで感覚的、経験的に理解されていた「経験年数の違いによる実践能力の差異」を、看護師へのインタビューおよび参加観察法を用いて実証した。ベナーの方法論を柔道整復領域に援用した場合、柔道整復師が初心者から熟達者へと至る過程に一定の枠組みを付与する可能性があり、本発表では「熟達の柔道整復師」におけるライフストーリー研究をもとに試論を述べた。