競技として「柔の形」に取り組む者に生じる腰部における傷害の実態を明らかにし、本競技の傷害予防に資する知見の付加を目的とした。「担ぎ系」の稽古時に受を上げる動作をしない・途中まで上げ最後まで上げないと回答した者は半数にのぼり、稽古の反復による腰部への負担を意図的に回避している実態が明らかとなった。さらに、競技を行うにあたり、取の筋力強化が重要であると41.7%の選手が回答した。「柔道に、とりわけ柔の形には強い筋力は不要」と考える指導者は多いが、柔の形を競技として捉えた場合、自身および受の身体を動揺せずに支持する強力な筋力は傷害の予防のために重要である。筋力に依存し理合いを無視するということではなく、理合いの具現化のために鍛えられた身体が求められると解釈すべきである。