本研究は、海外に在住する柔道形競技の選手に対するリモート指導の一例に関する考察である。柔道に限らず、各種競技の指導の基本は、選手と指導者が場と時を同じくし対面で行うものである。柔道の形競技においても即時のフィードバックが可能である対面による指導が基本となるが、形競技では、他の審美系競技と同じく、選手と指導者が動画視聴によるフィードバックをもとに動作を修正する作業が必須となる。今回、第32回東南アジア競技大会(通称・SEA Games)柔道競技のうち、Women’s Ju-no-Kataのカンボジア代表選手に対し、対面に加え、オンライン環境とICT機器を使用したリモート指導を実施した。本発表では、この試みから導かれた利点と問題点について紹介した。