例年、全日本柔道選手権大会の前日である4月28日に、講道館柔道高段者大会が開催される。2023年、初めてとなる女性の部が開催され、31名がエントリーし熱戦が展開された。この大会で女性の部が開催されると周知されてから、妙齢?の女性柔道家の間では、水面下で「出る?」「出ない?」の駆け引きが繰り広げられていた。出場した選手はなぜ出場したのか。出場を見送った選手は、なぜ出場しなかったのか。嘉納治五郎は柔道の稽古は乱取と形の両輪で行うべきと説いている。また、柔道の「柔」の字を冠する柔の形は、古くから女性が行うことが多い形として知られ、2023年の全日本柔道形競技大会でも3位以内はすべて女性ペアが占めた。柔=ソフトな形として、体操の代わりとして行う柔道家もいる柔の形だが、競技として柔の形を捉えた場合、必ずしも「ソフト」ではない一面が浮上する。本発表では、いわゆる競技柔道を引退してなお柔道に取り組む女性、また競技として形に取り組む女性を糸口に、女性の生涯柔道について話題提供を行いたい。