男子日本代表候補の柔道エリート8名(66kg級の3選手,90kg級の2選手100kg級の3選手)を対象とし,柔道の外傷で多いとされている大外刈り5施技と大内刈り5施技の模範的な取りと受けの一体化した受け身についてKinematic analysisを行い,模範的な受け身テクニックが受けの頭部の衝撃を軽減させるか検討した.受け身テクニックの上肢や体幹で畳を打つ動作は,受けの頭部の重心鉛直下方速度(V1)を減速させており,すなわち頭部の衝撃(F)を減少させるものと考えられた.大外刈りのFは,大内刈りのそれよりも大きい傾向がみられ,受身のタイミングパターンから逸脱し上肢の畳に接地するタイミングが乱れた状況では,より頭部の畳に向かう速度が速くなり頭部の衝撃が増大し,頭部外傷が生じる可能性が高くなると考えられた.模範的な受け身パターンを学び,実践することが頭部外傷の予防に最も重要であると考えられた.