本研究は小・中学生のドーピングの知識や理解がスポーツ観へ与える影響を明らかにすることで、アンチ・ドーピング教育の有効性を検証することを目的とする。
調査結果から①「ドーピング」言葉の「認知」や「理解」について、特に小学生の認知度や理解度が低いこと、②全ての学年で「ドーピング」言葉の「認知」や「理解がない」子どもたちは、ドーピングを肯定する傾向にあり、逆に「認知」や「理解がある」子どもたちはドーピングを否定し、フェアプレイを肯定する傾向にあることがわかった。
以上の結果は、スポーツ観の健全性はアンチ・ドーピング教育によって向上する可能性があることを示している。
アンチ・ドーピング教育の先進国であるイタリアやフランスでは、キャンペーン的な手法で教育を展開している。しかし、我が国の教育環境を考えると、キャンペーン的手法よりは学校教育現場での教育の徹底がふさわしいと考えられる。
今後、JADA,JOC,日本体育協会などとも協力連携しながら、「医薬品」や「薬物乱用」の授業の中で、小学生からアンチ・ドーピングについての正しい知識や意識を育てていくことが、子どもたちの健全なスポーツ観の形成にとって重要であり、それがスポーツの価値を高める力になると考えられる。