本研究では、ホフステードの国際比較調査を援用し、日中両国の地域スポーツクラブに適用できる組織文化測定尺度を確認し、地域スポーツクラブ組織文化の「経済機会因子」、「指導機会因子」、「現実的問題認識因」、「理念的課題認識因子」の4因子構造を抽出した上で、日中の先進的なクラブの組織文化の特徴を明らかにした。考察の結果、①地域スポーツクラブは、ボランティア指導者が多いことから、「自由に指導ができること」、希望する期間に活動できること」、「技術や能力を活動で発揮できること」という指導機会にかかわる条件を整備することがクラブ運営に必須の要件であること、②ボランティアであっても活動にふさわしい報酬を実現することが地域スポーツクラブの持続可能性や発展にとって重要な要件になること、③現実的問題認識因子をリバースした「指導者としての役割が明確」、「指導者としての責務が明確」、「指導者が互いに尊重し合う」、「クラブ運営者に自由に意見できる」という項目は持続可能なクラブにとっての前提となること、の3点が示唆された。