本研究は①イタリアのドーピング数が多い理由、②なぜ選手はドーピングを行うのか、③イタリアのアンチ・ドーピング教育について明らかにすることを目的とした。
以前はCONI NADOというアンチ・ドーピング機関があり競技力向上と検査機関が同じ組織にあるという問題を抱えていた。現在はNADO(National Anti-Doping Organization)がアンチ・ドーピング組織である。ドーピングに対して無知でドーピングの害がわからずに使用しているアマチュアの選手が多く存在する可能性が高い。コーチングセミナーの講座の中で、ドーピングに対して理論的には理解を示しても、関心を示さない。ヨットの講座でアンチ・ドーピング教育を行ったが、多くのコーチはドーピングに対して関心も知識も持ち合わせておらず、違反になってはじめて知るという状況であった。毎年フェデレーションの参加者にアンチ・ドーピングのセミナーを開催していたが、これらが教育的な機能を果たしていなかった。個人の優勝者に多額の賞金が出る。一部の選手はドーピングをしてでもお金を得たい。ドーピングをするのは身体に悪いこととわかっていても、若い選手は目の前のお金に誘惑されてしまう。イタリアはファミリー・ドクター制度であり、ファミリー・ドクターはスポーツ・ドクターのようなアンチ・ドーピング知識を持っていない。以上の事が明らかとなった。