本研究は、柔道選手に着目し、変わりゆくスポーツのルールに対応を迫られるアスリートは、競技のルール改正に対し、どのような不満を抱えているのかを明らかにすることを目的とした。
ルール改正が頻繁に行われている柔道競技に着目し、A体育大学男子柔道部の中から対象者を選定した。選定基準は競技規定改正前から改正後にかけて競技を継続しており、競技レベルを一定以上に保つため、全国ベスト16以上の選手12名とした。調査は2018年8月3日~ 4日の2日間で行い、質問項目は(1)現在の階級と最高成績、(2)現在の練習環境、(3)競技規則で疑問に思うことや不満に感じていること、(4)ルール改正についての知識、(5)ルール改正の影響を受けた経験の有無、(6)ルール改正の原因について考えられることの6項目
とした。調査は1対1の半構造化インタビューを行い、その内容をICレコーダーに記録した。その後質的デー
タの分析ソフトウェアMAXQDA12に文書を読み込み、M–GTA分析を行った。
インタビューから抽出されたすべての概念の数は同様の概念を含め158あり、それらを整理すると37概念が生成された。そのうち36概念から11カテゴリーが生成され、残りの1概念はカテゴリーと同等の説明力を持つ概念とした。本研究が着目する不満に関連する概念は全て合わせると108概念抽出された。それらを整理したものは24概念8カテゴリーであった。