本研究では剣道試合における審判員の注視点に着目し、剣道の技術レベルの異なる被験者群が、試合場面において何処を見て判定しているかを明らかにし、審判の技術向上および審判法指導に有用な知見を得ることを目的とした。その結果、より正確な判定のためには、周辺視において両試合者を捉え、選手間に注意をしながら状況に応じて注視点を変えていくことが必要であることが明らかになった。また、剣道の打突技術は相手の多様に変化する状況に応じて、連続的にしかも瞬間的に判断して動作が行われることから、審判員は常に様々な場面を想定しながら審判を行うことが大切であり、打突技術の構造や法則性を意識しながら実践する必要性があることが示唆された。