戦後教育学のなかのマルクス主義―矢川徳光と高坂正顕における「主体」概念を中心として(査読付)
『近代教育フォーラム』第25号、77‐85頁
近代教育学批判は、その「成功」故に、現代の教育現実にいかに向き合うべきか、を問われているといえよう。本稿は、矢川徳光と高坂正顕の「主体」概念を検討し、左右のイデオロギーを越える戦後教育学の基盤を解明したものである。戦後教育学がマルクスから取り出した最大の影響は人間学的な「主体」概念である。その「主体」概念は新自由主義的な教育政策と親和的であるが故に、マルクスに依拠していながら、現代資本主義の批判には無力なのである。
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