1.筋骨格系シミュレーションプログラムを構築し、個々人の身体特性に容易にカスタマイズ出来るものにした。シミュレーションモデルには全身の身体形状、個々の筋の筋量、筋の生理学的横断面積、起始・停止の位置、筋束長、皮下脂肪・内臓脂肪の分布、内臓器官の分布、骨格系の形状、等のパラメーターを組み込める様になっている。これらのパラメーターは完全に独立したものではなく相互依存関係を持つものもあるので、値を定める際にはこの依存関係を考慮する必要がある。本研究ではこの依存関係もシミュレーションモデルに組み込み、適切なパラメーター値を矛盾なく設定できる様にした。モデルは2次元と3次元のものを作成している。2次元モデルについてはC言語で記述したものとMATLAB言語で記述したものを作成した。3次元モデルについてはMATLAB言語で記述したものが完成しており、現在C言語で記述したものを作成中である。またこれらのモデルを用いて跳躍動作のシミュレーション研究を行った。
2.歩行・走行動作中に身体各部に作用する衝撃の評価を行った。頭部・腰部・大腿部・下腿部・足部に小型・軽量・ウェアラブルな加速度センサを装着し、床反力計を内蔵するトレッドミル上で歩行・走行動作を実施した。従来のこの種の研究では、一歩または数歩のデータ取得と分析を行っているが、本研究では各速度で5分以上のデータ取得を行い、その全ての分析を行った。衝撃の平均値のみならず変動性にも着目した。加速度および床反力のピーク値についても変動性についても、歩行・走行速度が上昇するにつれ値が大きくなる傾向が見られた。またいずれの値についても、値は足部で最も大きく、頭部方向に向かうにつれ小さくなった。これは身体の軟部組織の粘弾性の影響であることが示唆された。