本課題は、「骨格筋収縮時の筋内外脂質リクルートメント」に着目して活動筋中の代謝調節システムを解明することを目的とした。特に、MRIを用いたヒト非侵襲的な手法と分子生物学的な解析データを相互に関連させて筋がどのようにエネルギーを利用しながら収縮し続けているかを明らかにしていくことが狙いであった。
現代の肥満や脂質代謝異常の基盤である「骨格筋代謝機能」のさらなる解明のきっかけとして、特に二足歩行への「進化」という観点を踏まえた上肢・下肢の代謝特性の相違、四肢の活動筋への脂肪供給源および脂肪貯蔵、エネルギー源としての糖質の関与との多様性に焦点を当てることで、新たな知見を獲得することができたと考える。