本研究では,小学生児童の短距離走におけるスタート動作の特徴が疾走時の身体重心速度にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした.男女20名の小学生児童を対象として,スタート動作のタイプ分けを行った.また,スタート時において構える腕と脚の位置が左右対称のスタート動作を行なっていない者を対象として,腕と脚の位置を左右対称になるように指導を行なった.その結果,小学生児童20名のうち,スタート時において構える腕と脚の位置が左右対称のスタート動作を行なっていない者は,男女ともに約半数ずつ存在していることが示された.加えて,スタート時において構える腕と脚の位置が左右対称のスタート動作を行うことで,腕と脚の位置が同じスタート動作と比較して速度の立ち上がりが有意に大きくなることが示された.以上の結果から,小学校体育の短距離走において,スタート後の加速能力を改善するためには,前方に構えた腕と逆側の脚を前方に構えるスタート姿勢の指導をすることが有効になる可能性のあることが示唆された.