本研究は、何がスポーツの公共性なのかについての原理的な答えを提示し、「公的領域」と対をなすスポーツの「私的領域」についても明らかにすることを目的としている。その上で、これら二つの異なるスポーツの領域から人間にもたらされるスポーツ及び身体経験の意味を明らかにした。考察の結果、スポーツの公共性とは他者との交わりの中で実存が成就することを意味し、私的領域とは自己の世界を作る他者からは隠された身体経験であると結論づけられた。それぞれ試合と個人的トレーニングが事例として対応する。さらに、それら二つの領域がもたらす経験の意味づけについて示唆が与えられた。