野球投手における体幹部三次元的動作と球速の関係: 個人間および個人内分析からのアプローチ

野球科学研究

本研究は，体幹部，すなわち骨盤に対する上胴の三次元的動作と球速の関係について，個人間および 個人内分析を用いて明らかにすることを目的とした.6 名の大学野球投手の全力投球を三次元動作解析 し，投球サイクル中の主要な時点における体幹部のキネマティクスと球速について相関分析を行なった 結果，個人間ではボールリリース時のグラブ側の側屈角度，角速度，踏み出し足着地時の投球腕側の捻 転角度が球速と非常に強い相関関係を示した.一方，同様の結果は個人 内ではみられず，被験者それぞれにおいて体幹部キネマティクスと球速の関係性は異なった.これらの 結果から，一般的には野球投手において踏み出し足着地時の投球腕側の体幹捻転およびそれ以降のグラ ブ側の体幹側屈の増加が球速の増加に寄与する可能性が示されたが，投手それぞれの特徴を考慮した複 合的な観点からの指導が必要であると言える.

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