ペダリング動作は,両脚を交互に踏み込むことで脚の引き上げを強調しなくても一定のクランク回転速度を維持することができる.一方で,片脚パラサイクリストは引き上げ局面(180-360度)時に反対脚の踏み込みによる力を利用できないため,引き上げ局面においても積極的に脚の引き上げを行わなくてはならない.以上のことから片脚パラサイクリストのペダリング動作は,健常サイクリストとは異なる特徴を示すことが予想される.本研究は,片脚パラサイクリストのペダリング動作をKineticsおよびKinematics的観点から評価することを目的とした.対象者はC2クラスパラサイクリスト男女それぞれ1名,大学男子サイクリスト15名とした.総クランクトルクに対する負のクランクトルクはサイクリストが15.0±6.8%であったのに対し,パラサイクリスト0.12±0.17%と極めて小さかった.加えて,パラサイクリストは第三象限においてよりペダルを後方へ引く力を発揮する特徴を示した.関節トルクにおいて,パラサイクリストが第二,第三象限において大きな膝屈曲トルクを生成する特徴が観察された.以上のことから,片脚パラサイクリストは,健常サイクリストと異なったペダリングストラテジーを有している可能性が示唆された.