44歳男性の出血性ショックを伴う腹部鈍的外傷例で,パーテクネテイト(99mTcO4-)急速静注による腹部ファーストパス像の解析を行い,腹腔内臓器の血流を調べた使用装置は島津・ピッカー社製プリズム2000.パーテクネテートは組織内には取り込まれないため,急速注入された第一循環は血流量に比例すると考えられている.関心領域を腹部大動脈上部・両側腎・腎動脈分岐下腹部大動脈に設置し,各々の領域でのピークカウント数を計測した.すると,全身状態が極めて改善し,生理的にはほぼ正常な状態にあると考えられる104日目では,腹部大動脈に流入した血液は,腹腔内臓器に39%,腎に35%,骨盤・下肢に26%分配されていたが,血圧回復後11日目では,腹腔内臓器に12%,腎に50%,骨盤・下肢に38%であった。