本研究では3~6歳の幼児458人(男児251人:3歳53人、4歳72人、5歳94人、6歳32人 女児207人:3歳51人、4歳60人、5歳74人、6歳22人)を対象に立ち幅とびおよびボール投げを測定し、1966~2008年の幼児体力測定調査4~9)と比較・検討した。さらに幼児の保護者を対象に運動習慣に関するアンケート調査を実施した。結果は以下に示す通りである。
1. 立ち幅とびでは3歳後半、4歳前半、6歳前半で男児が女児より
も有意に大きい値を示した。さらに4歳前半から6歳前半で男児のボール投げは女児よりも有意に大きく、年齢が上がるにつれて、男女差は大きくなる傾向を示した。
2. 2017年と1966~2008年の幼児体力測定調査4~9)で立ち幅とび
およびボール投げの値を比較したが、2017年の値は幼児体力測定調査(1966~2008年)よりも男女とも低い傾向を示した。
3. 保育園や幼稚園以外で定期的に運動を実施している幼児の割合は
年少から年長に進むにつれて増加し、年長の男児では67.9%、女児では50.0%であった。実施していた運動種目は男女とも水泳や体操が多かった。
以上より、2017年の立ち幅とびおよびボール投げの値は幼児体力測定調査結果(1996~2008年)よりも低い傾向を示し、特に2017年の男児のボール投げは1966~2008年の幼児体力測定調査結果を大きく下回っていた。したがって、現在の幼児は昔と比べると跳力や投力が低下していることが示され、幼児が身体を動かす機会をさらに増やし、幼児の健康増進を図る必要性があると思われた。