背景:総務省消防庁が2019年に実施した調査では,心肺蘇生を望まない傷病者に係る救急出動件数は全国で年間5,359件あったものの,83.5%は救急隊が心肺蘇生を継続していることが報告されている。病院前救急医療を担う救急救命士にとって,傷病者の意思に沿った心肺蘇生を行う上で,アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)を理解することは重要である。
目的:救急救命士養成課程の学生を対象として,「もしバナゲーム」を用いたACP教育を行い,教育前後の意識の変化を比較することで教育効果について検討した。
方法:救急救命士養成課程の大学3年生以上74名を対象に,90分で講義及び演習を行い,介入前後で質問紙を用いた調査を行った。
結果:自分や家族の最期について話をしておきたいという考えが事後に有意に上昇した。話をすることの重要性も,事後に有意に上昇した。「最期」の話を通じて「生き方」や「命への感謝」について考える機会にもなった。
結論:救急救命士養成課程の学生に対するACP教育に「もしバナゲーム」を導入したことで,ACPを具体的に考える機会を作ることが出来た。