日本体育大学では、2018年に市販車ベースとしては初となる電動ストレッチャーを搭載した救急車を導入し、教育・研究・社会貢献に活用している。2022年には赤色灯が架装され、東京都公安委員会から緊急自動車の認定を受け、緊急走行も可能となった。最近では、横浜マラソン2023で2件の緊急搬送を行っている。これまでの活用事例を紹介するとともに、電動ストレッチャー導入のメリットについて検討する。
電動ストレッチャーの導入率は欧米の救急車には90%以上、豪州では98%とされており、先進国ではもはや標準装備となっている。その最大の利点は、省力化・省人化であり、電動ストレッチャーの導入が労災を軽減したとの報告もある。また、高さを自在に調整することで、実施者の体格に関係なく適正な胸骨圧迫の実施が可能となり、事故防止にも繋がる。「傷病者搬送=力を要する仕事」という固定概念を覆し、従事者の心身の負担を軽減させる。定年延長や女性活躍、働き方改革等でマンパワーの確保に苦慮することが想定される本邦の病院前診療においても、電動ストレッチャーの導入及び活用に期待する。