【背景】国内の女性救急隊員は2021年4月現在、総救急隊員数の僅か2％である。総務省は消防分野の女性活躍を推進しているが、市民のニーズは明らかではない。【目的】女性救急隊員に対する市民の認知度とニーズを調査し、救急車の利用者視点における政策を提言する。【方法】2021年5月、神奈川県民600人（男女各300人）を対象に、アンケートツールQiQUMOを用いた「女性救急隊員の認知度とニーズに関する調査」を実施した。【結果】有効回答数585人（98％）。職業としての女性救急隊員の存在を知っている人の割合は年代に有意差なく42％にすぎなかった（P＜0.05）。回答者の98％が「女性救急隊員は必要である」と考え、女性救急隊員に期待するのは「女性疾患への対応（90％）」「身体所見の観察（55％）」「接遇（18％）」であった。女性救急隊員で不安なことは「危険な現場（56％）」「搬送（49％）」であった。【考察・結語】市民は女性救急隊員を必要としている。市民のニーズに応える救急医療サービスを提供するため、女性救急隊員の絶対数を増やす必要がある。安全管理や搬送支援の取り組みなどを市民に紹介し、安心安全の救急医療サービスの提供をPRするとともに女性救急隊員の認知度を上げることを提言する。
